続きはボツです。
彼女と飲んでてあの話題はないだろう、と………。
そろそろ過去拍手がたまりました。
サラの彼氏はソルジャーだ。
とは言ってもソルジャーとは思えぬ柔和な物腰で、性格もどちらかと言えば温和。営業よりもデスクワークが似合いそうな男である。独特の蒼い目を持っていなければ、ソルジャーだと言っても信じてもらえぬだろう。
しかし酒にはめっぽう強く、
(わたしの肝臓はソルジャー並みと言うことかしら)
付き合い初めにこそ、そう落ち込んだサラだが、ソルジャーでもウワバミだと聞かされて安心した。
その彼とビールを飲みながらふと、
「ソルジャーになって不便なことってある?」
と尋ねてみた。
ザイオンはミッションの内容は一切口にしないし、サラも聞きたくない。
自分の仕事の愚痴ばかり聞かせては申し訳ない、と話を振ったのだけれど。
「ミッション行くと、トイレがないんだよ」
きわめて真面目な口調で切り返された。
「………」
「物資は持って行けるけど、トイレは持っていけないんだよね。その辺でしろ、と言われて最初はカルチャーショックだった」
と呟くザイオンの目は当時を思い出しているのか、どこか虚ろだ。
「しかも敵に見つかるといけないから座ってしろと言われてさ。ミッドガル勤務じゃ考えられないよなあ」
かくいう彼はミッドガル生まれのミッドガル育ち。腐るほど公衆トイレがある豊かな環境に育ったが、ソルジャーの8割は辺境出身である。大自然すべてがトイレ、と言う彼らと違い、ザイオンは野ションにかなり抵抗があった。
「膀胱炎になりたくなければさっさと行って来いと蹴り飛ばされて、かなりやばかったよ」
「………。そう」
ソルジャーとしての最初の試練が野ション。
(ほかにもっとこう、人として基本的な葛藤とかなかったのかしら………)
サラはビールをおかわりした(ピッチャーで)。