書くのが極端に遅くなるのは原作読んじゃうからですw
まだ単行本になってない短編もあるよなあ。
慶も延も泰もいいけど、連もいいですよ~。
そう言えば、利己的遺伝子の初代ザックスを出せないのは、拍手した時の『もいっちょw』と言うボタンがすべてを壊すからです。
以下、以前拍手でいただいて激しく納得したネタです。
雑魚の相手など使令に命じるまでもない、ザックスは大振りの剣を横薙ぎに払って妖魔の首を飛ばした。一瞬で返り血に染まるが拭う間もなく、別な妖魔を斬り殺す。
「………手ごたえのない」
粘つく血糊を振り払い、ザックスは累々と横たわる妖しの屍をねめつけた。
王が登極してまだ日は浅い。国が安定するのは今からだろう。国が乱れれば妖魔が湧くのがこの世界の常だ。
「しばらく国境をめぐるか」
誰ともなくごちるこの男、「台輔と言うより将軍」と言わしめるこの国の麒麟である。
本来仁の生き物、血と穢れを嫌い、王を戒める天意の容れ物であるが、何事にも例外はある。国を憂える王に代わり、こうして妖魔を狩って国を、民を守っている。
ふと。
使令の気配がした。
王の守りに残しておいた妖しだ。
『王が』
「クラウドがどうした?」
報告を聞くより早く、ザックスは獣に転変する。ほんのり額が熱くなった一瞬ののち、優美な獣となって空を駆けた。
「クラウド!」
果たして、王はいた。
「ザックス」
宮殿でのんきに出迎える姿は見たところ、元気そうだ。
「クラウド、無事か!?」
獣形を解き、うっかり変質者の態だが慣れたもので王も麒麟も気にしない。特にクラウドはザックスのことをほんとうにケモノだと思っている。獣は服を着ていない――それは常識である。
ぎょっと目を剥き、目を反らすのはいつも官たちだ。
だが、王まであと数歩、と言うところでザックスは顔色を変えた。
「………っ!」
「ザックス?」
どうかしたのか、と小首を傾げる王からわずかに漂う血水にザックスは全身から力が抜けた。へなへなとへたり込む麒麟にクラウドは駆け寄った。
「どうしたザックス! お前のために慣れぬ料理をしてやったのに!!」
将軍より働く、と言われる麒麟をねぎらうため、王は止める役人を押しのけて厨房に立ったのだ。
ほら、と料理の盛られた皿を差し出す手は傷だらけである。
その手をザックスは掴んだ。
「お前…! 麒麟が血に弱いと知ってなんで傷なんかこさえるんだ!?」
と懇願する麒麟のほうがよほど返り血で汚れている。
「ああ…力が抜ける。失道する、俺は死んでしまう」
そうぼやきながらさめざめと泣き崩れる麒麟に、クラウドはじめ国の官たちは。
(ああ…ほんとうに麒麟だったんだ)
と実感するのだった。
(てっきり別の生き物だと思ってた)
――ただし王の血に限る。