「まつの特製おにぎりにございます!」
殿の正室からの差し入れに前田の兵たちは色めきたった。
「うおぉっ! まつ様の特製握り飯!」
「具が大きい~! って、あれ?」
「具しかない…ってこれ、まつ様石に見えるんですけど」
「具がなければ石を詰めればいいじゃない」
ほほ、と笑う様はとんだマリーアントワネットである。
「その石つぶてで犬千代様をお守りするのです」
「まつ…」
それを見た前田利家は。
「まつは賢いなあ! 兵糧に見せかけて実は軍資を運ぶとは」
「犬千代様!」
ひしと抱き合う戦国一のバカップル。
犬千代様気がついて。
そこにいるのはただの鬼嫁です。
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