このまま更新ができないようであれば、一度隠しページ(隠れてないけどっ!(笑))は消そうと思います。
報告書を提出し、ぼろぼろの体でヒューはエレベーターの降下ボタンを押した。結果はどうであれミッションは終わった。
後はシャワー浴びて飯を食って。
(ノヴァがいたら良いなあ)
と考えたら一部元気になった。
開閉ボタンを押したところで、
「乗る」
ぬっと横から伸びた手が閉まりかけた扉をこじ開ける。
――シィンだ。
(やな顔見たよ………)
露骨に眉をひそめるヒューなどお構いなしに、シィンは携帯を開き、これからデートするであろう女性に電話をかけ始めた。その相手は一人や二人ではない。相変わらずの節操なしである。
(腐って落ちてしまえ)
ノヴァにぶつけられる罵声を胸のうちに呟き、ヒューはエレベーターの壁に背中を押し付けた。
降下していくフロアの数字を見、早く着かないかな、と思ったそのときだ。
カーゴが大きく揺れ、照明が消える。それも一瞬。すぐに非常灯に切り替わった。
「………なんだ?」
天井を睨み、ヒューは非常ボタンを押す。
「おい、何があった?」
スピーカーに向かって声を上げるヒューの横で、シィンは彼女への電話を一方的に切るとすぐに別な番号を呼び出した。
「ノヴァ。エレベーターが止まった。出せ」
「っ!?」
(なんで、こいつの窓口がノアな訳?)
しかも上から口調。
自分がそんなことをすれば、どれだけの仕返しとお預けが待っているだろう。
やっぱりこいつは嫌いだ。
ヒューは威嚇の声を上げた。
シィンからの一報を受け取ったノヴァはすかさず。
「英雄と言う名の馬鹿を確保しろ」
とザイオンに命じた。
「セフィロスが絡んでるのか?」
副官は目を丸くしたが、
「あいつが修理するつもりで取説持ち出したら、被害は拡大する」
との返事に納得する。
「破壊しか出来ないヤツは製造も修理も出来ないんだ、と取説に書いて欲しいよな…」
たしか先日は、卵料理を作りたいのだが適量と書かれた塩をどれだけ入れたらいいのか分からない、と卵と塩を持ってブリーフィングルームに現れた。おまけにその卵は料理自慢のパワーチームが持ち帰ったモンスターのもので、半分孵化しかけていた。
『これは上級者用だから』と言って無理矢理取り上げられた英雄のチャレンジ精神はくすぶっている。
「テロでも起きないかな…」
ぼやきながらもセフィロスを探しに出るザイオンを見送り、ノヴァは状況を確認する。
「シィン、エレベーターにはお前一人か?」
『いや…』
シィンは携帯を片手にヒューを振り返った。
「お前、名前なんだっけ!?」
「てめえに名乗る名はねえよ!」
怒鳴りつけられ、シィンは小声で携帯に囁いた。
「すっげえたまってそうなやつ」
「………」
電話越しに聞こえたその声に、ノヴァはヒューのデータと、停止したエレベーターが最後に止まった階の画像を呼び出した。
「あいつかよ…」
たまってそう、でヒューを思いつく自分に激しく自己嫌悪しつつ、
(このまま廃棄してぇ…)
ノヴァは重い足取りで管制室に向かうのだった。