人を救うためには、まず自分が強くならねば。
なにもできないと落ち込むより、強くなるために必要な時間だと思うことにする。
以下SSです。
いつもの馬鹿なノリなので、ご注意ください。
なにもできないと落ち込むより、強くなるために必要な時間だと思うことにする。
以下SSです。
いつもの馬鹿なノリなので、ご注意ください。
「事件が起こる、10分前の映像です」
元は店内の防犯カメラなのだろう、モニタに映る映像は上から見下ろす角度で店内を一望していた。
「兵舎の近くなので、対象者たちは日頃から利用していたようです」
画像の中には見慣れた格好のソルジャーたちが数名たむろしている。
「23時34分。問題の停電が起きました。この停電に事件性はなく、近所の商業施設でのイベントに大量の電力が使われたために一時的にダウンした模様です」
画面の中が一瞬暗闇に包まれる。そしてすぐに暗視カメラに切り替えられた。
「万引きしたヤツがいれば、厳重に処分しろ」
横柄な声に、説明していた男は困ったように言葉を詰まらせる。
「いえ、それが、その…なにぶんソルジャーですので」
画面の中のソルジャーたちは動かない。暗視カメラ並みに夜目が利くので、突然の停電に気づかないようだ。
「………馬鹿じゃないのか」
「………」
返す言葉もない。
一分ほど経って、ようやくあたりが暗いことに気づいた。街灯も消えている。店員に見咎められることはない、とその者は大胆な行動に出た。
「対象S-Pは、その、成人向け雑誌をですね…」
つまり、エロ本を見に行ったらしい。
「恥さらしが」
吐き捨てる声に、男はますます身をすぼめる。
「同じくH-Pはしゃがみこんだまま動きません。どうやらコーラ味の飴が見つからないようです」
「N-Tはどうした」
「………あの男は電気の届かない場所にはいません」
この事態を想定していたのか、停電区域から前もって出ている。
ちなみにとても報告はできないが、H-Pは飴の前は未練たらしく避妊用具を見ていた。
「R-Tは、背伸びして高いところの商品をとろうと足掻いてます」
きっとそんな様子を見られたくなかったのだろう、この時ばかりに高架にある商品に手を伸ばしている。
「電気が通って後に、ちゃんと商品は購入してます。お徳用アイスでした」
「………今度から踏み台を置くよう、店に言え」
「補足ですが店の外では、R-Tの車に卑猥な文句を書き連ねた紙が貼られております」
「――問題外だ」
続けろ、と先を促され、男は続ける。
「Y-Sは店内の万引き防止用の鏡に映った自分を見ているようです。ポーズをつけているのは、停電で気が大きくなっているせいでしょう」
へそなど見せて、見るに耐えない。
「H-Pの横にも、何かが丸くなってるぞ」
「U-Mですね。…商品をさかさまに並べているようで…」
「………なんのために」
「ただの嫌がらせでしょう。23時37分――」
コンビニが、爆発した。
「――巻き戻して、スロー再生を」
コンビニの通路にちっびこランドがしゃがみこんでいる。
その後ろを、ずっと気になっていた商品を手にご機嫌なライが通り過ぎ、ヒューに声をかける。その時だ。
ライが何かを見つけた。指差された『それ』に、ちびっこランドがファイアをかます。ライがそれを増幅した。だが仕留められなかったようで、ヒューが翻した刃に什器が吹っ飛ぶ。
『それ』は魔法も刃もすり抜けて、自分の世界に浸りきっていた召喚士のほうへ向かったようだ。ソルジャーが悲鳴を上げる。イフリートを召還した。ちびっこランドのファイアで火の魔法が満ちている。あたりは火の海だ。
飴が溶ける、とヒューは逃げ出した。その際、レジにお金を置くことも忘れない。
ライはアイスを庇ってブリザドを発動させる。
イフリートとファイアの相乗効果にヤバいと感じたのだろう、ちびっこランドがウォータを呼ぶ。
召喚士がヘソを隠しているのは、雷を警戒しているためだ(意外と迷信深い)。
あふれる魔法に――コンビニは半壊した。
品出しをしていた店員が無事だったのが幸いと言えよう。
「………店内の商品はすべて損壊。唯一難を逃れたのはサーナル…いえ、S-Pが読んでいた成人向け雑誌が一冊です」
被害状況にルーファウスは眉をひそめた。
「たかがゴキブリ一匹見つけただけで、店を壊すな…!」
「あの…マスコミへの会見はいかがいたしますか?」
ソルジャーが現場にいたせいで、爆発はテロリストのせいになっている。
ツォンが恐る恐る声をかけた。
「そのままテロリストになすりつけておけ」
こうして反神羅勢力の悪評は高まるのだった。
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