所詮わたしなんてこの程度です。
お次は20万リクの、明るいシィライでも書きたいところですが、ちょっとオリジナルが最近放置なのでどうしようかなー。
とりあえず、『pray』をご存じない方のために。
↓
「ざまぁねえな」
らしくない弱音を打ち消すように、ぷーとマヌケなトランペットの音が響いた。
「!?」
「なんだ!?」
新たなモンスターか。
上空から聞こえたような気がして慌てて振り仰ぐと、トランペットの音とともにデブモーグリが降って来た。トンベリを一撃で仕留めるその重量に、クラウドは言葉を失う。
改めてデブモーグリを見ると、そこに張り付いているのは見慣れたクロネコではなく高熱で苦しんでいるはずのライだった。
「………」
違和感がないのが不思議でならない。
モーグリに乗っかったまま、ライは握ったトランペットを未だへたり込むシィンの頭に投げつけた。
「でっ!」
何故ここに来たのか。身体の具合は?――諸々のことで頭がいっぱいだったシィンは反応が遅れた。ガン、と見事に頭部にクリーンヒットだ。仰け反り、よろめきながらも立ち上がったシィンの胸倉を、ライは掴み上げる。
「誰が、こんなことを頼んだ?」
古巣に戻り、こんな条件を飲んでまで自分を救おうとするシィンの身勝手さに腹が立つ。――そして、それを嬉しく思う自分にはもっと腹が立った。
「今更神羅の犬になるんじゃねえよ。オレが死ぬのは仕方ないだろう? こういう身体なんだから」
「………」
シィンは無言のままだ。
そんな彼が苛立たしく、ライは激しい気性そのままに声を荒げた。
「さんざ人を殺しておいて、死ぬのが怖いなんてどのツラ下げて言えるよ!?」
「…それでも」
掴み上げられるに任せ、シィンはまっすぐにライを見据えた。
「オレは、何を差し置いてもお前に生きて欲しい」
「シィン…?」
死ぬのは仕方ない。それでも、ライの死を指を咥えて待っているのはイヤだったのだ。神羅にその技術があるのなら、神羅を乗っ取ればいいと言ったのをノヴァが止めた。
『ライを生かすために、また殺すのか』
そう言われ、自分にはそれしか出来ないと吠えた。
だから、こんなことは何でもない。
神羅にいいように使われても、ライが助かるのならば。
「お前が生き残る可能性があるのなら、オレはそれに賭ける」
ライは。
「………」
ぎゅっ、と唇を噛み締め。
「救いようのない馬鹿だな!」
握った拳をシィンの頭に振り下ろした。
「………身体の調子はいいんですか?」
デブモーグリから飛び降りるライに、恐る恐るクラウドが問いかける。
めちゃくちゃ元気に見えるのだが。
とても生死の境をさ迷っていたとは思えない。
「ああ、ミッドガルで血を抜いて、輸血受けた。だからオレと同じ血液型のヤツ皆貧血なんだ」
「…誰がそんな力技をしろと言った」
シィンは呻くが、ライはけろりとしたものである。
「いいんじゃね? 医局の連中,オレの血を泣いて拝んでたぜ」
元々が血液中の魔法元素が溜まったために起きた不調だ、自身の血ではないがライの体は再び魔法元素を生み出そうとフル回転である。お陰で絶好調だ。
「そしたらさ、変なオッサンが調べたい事があるからオレらにも北の大空洞に行ってくれって言ってさ」
「変なオッサン?」
「このデブモーグリとネコのぬいぐるみ持たされたんだ。あの人、倉庫番?」
「………結構偉い人です…」
思わずリーブに同情するクラウドだった。
(中略)
でもさ、とライはことさら明るい口調で切り出した。
「セフィロスに『さっさとあの世に逝く方法』って説明書を渡してなかったのは拙かったよね!」
…どこに売ってるんだ、そんな本。
色んな意味で完全復活を遂げたライであった………。