結局デートはドタキャン。
体よく振られてしまったシィンはマンションで自棄酒を煽った。つまみが欲しくても何もない。宅配でもとるか、とメニューを見ると、ライも必死になって覗き込んでいる。
「お前も食うのか?」
答えるより早く腹が鳴って主張を始めた。
「お前は本当に植物か…」
肉食動物じゃないのか、と呆れつつ、ライが指で示すがままのメニューを頼む。決まったもの以外を食べさせないでくれ、と言われたが本人(?)が欲しがってるので構わないだろう。所詮人間の食べ物だ、毒になるはずがない。
だが、届けられた大量のピザとチキンを見ると不安になった。
(どう見ても植物の食い物じゃねえだろ…)
水と肥料じゃないのか、植物は。
しかし口と指をソースだらけにして嬉しそうに食べてる様を見ると、まあいっかと思ってしまったシィンだった。
汚れたので風呂に入れてやると、熱い湯は苦手のようですぐ上がる。
「やっぱ水がいいか」
そういうところは植物だな、と同じくバスタブにつかりながら笑うシィンに、何を思ったかライが戻ってくる。
「どうした?」
湯は苦手じゃないのか。
「萎れちまうぞ」
熱いはずの湯に、ライは手を突っ込み、シィンの腰に触れる。そこにはくっきり歯形があった。気を使ってくれるのだろうか。
「…もう痛くねえよ」
そう言って栗色の頭を撫ぜると、ライは嬉しそうに笑った。
プランツは、主人と認めたものにしかなつかない。笑わない。
だが、ライは随分人懐こい性質のように見えた。
きっと誰にでも笑うだろう――そう思ったら、むかついた。
「明日、返品してやる」
調整が入れば、ライはシィンのことなど忘れてしまうのだと聞いた。
シィンも、いずれはこの厄介な植物のことなど忘れるだろう。
だから今夜だけ。
思いっきり食わせてやろう。
だが、翌日店に出向けば。
「ミルク以外のものを与えましたね!」
店主は目を剥いてシィンを責めたてた。
「言ったでしょう、プランツは繊細には程遠く見えてもとても繊細だと! ほら、大きくなってるじゃありませんか!」
12センチ定規を当ててがなる店主にシィンも吠え返す。
「元から小さいから分かんねえよ!」
大きくなったと言っても、その定規の目盛り分も増えていない。分かるはずもなかった。
「育ってしまったら調整は出来ないんですよ! 当店ではお引き受けできません!」
そうして追い出されたのだった…。
わたしシリアスも書けるもーん、と言う自己顕示と、これがプランツシリーズの真骨頂だと思ってるので。
来週頭に一気に下げるかもしれません<プランツ
今わたしが書いているプラソルは、川/原由/美/子氏の『観/用少女』(観葉、ではないようです)と言う漫画のパロです。少女の形をした、植物(プランツ)とその主たちのオムニバス形式のお話です。
人気があるのは知ってましたが、まさか二次作品まであるとは知らなくて驚いたのです。二次作品を見たことはございません。
結構独特の雰囲気の作品でして、『しあんさんならどんな風に表現するのでしょうか』と言われて乗っかった作品です。
受けがよくて幸いw
お次はザックラです。
一人暮らしを初めて一ヶ月。部屋も落ち着いたことだし、アパートの契約で動物は飼えないのでせめて植物でも…と思ったのがきっかけだった。
人通りの少ない路地裏の、ひっそりした佇まいの店だった。
カラン、とドアベルを鳴らして中へ入ると、
「いらっしゃいませ」
チャイナカラーの男が奥から現れた。
店内を見回すが、薄暗くて植物らしきものはない。店を間違えたかなと思い、ヒューは店主と思しき若い男に尋ねた。
「ここはグリーンショップではないんですか?」
男は、ああ、と声を上げ、
「プランツをお望みですか? ちょうど店内の模様替えをしておりまして、商品は奥にございます」
と、仕切りのカーテンをめくった。
そこにはプランツとはほど遠い人形が並んでいた。人形と言っても人の大きさほどもある。最初、本物の人間かと思ったほどだ。
「!?」
ヒューが慌てて店主を振り返ると、
「お客様、プランツは初めてご覧になる?」
「プランツって、これは人間じゃないのか?」
「いいえ、植物ですよ。特に当店が扱ってるのは神羅製の一級品ばかりでございます。ほら、こちらのマッチョなプランツなど如何です。家事なら何でもこなしますよ」
…だから植物じゃないだろう。それは。
「場所をとりそう…」
「このタイプですと、装備もかかります」
「装備?」
店主が頷いた。
「片手剣、両手剣、斧、槍、棍棒、あと盾も欲しいですね」
「…そんなに揃えて何をするんですか?」
「敵を撃退します」
「………」
敵ってダレ。
ここの商品はうちには不釣合い、と店を出るべく視線をめぐらせたヒューの視界に、銀髪のプランツが目に付いた。目を閉じ、じっと椅子に座っている。何故だか妙に気になった。
店主もヒューの視線の先に気付いたのだろう。
「お客様、お目が高い。こちらは電卓ツールがついたプランツです。彼がいれば家計簿要らずですよ」
言いながら、そっと銀色の前髪を下ろす。
「眉間にシワが…」
「………いくらなんですか?」
「えっ!?」
店主も驚いたが、口にしたヒューはもっと驚いた。自分でも何を言ってるのだろうと不思議に思う。
こんな植物、役に立たないし場所もとる。買ってどうするのだ。
マイナスイオンとは無縁そう…と観察しながら、目が離せないでいた――。
もうひとつついでに。
オリジナルサイトへのコメントは、面倒ですがあちらにお願いしますm(_ _)m 分けた意味がねえ。
一応シィライプランツは続くのですが、とりあえずヒュノアを…。